殺生石

玄翁(ワキ)という僧が従者(間)を連れて奥州から都へ途中、那須野に着きます。 すると、ある石の上を飛んでいる鳥が皆落ちてしまうことを従者が見つけて驚きます。 そこへ女(前シテ)が現れ、その石は殺生石と言って鳥だけでなく触るものをすべて殺してしまう石なので、 近寄ってはいけないと言います。 そして、その石は、鳥羽の院に仕えていた玉藻の前という女が 実は鳥羽の院の命を狙っていたところ、目的を知られてしまい、 那須野で石になったものだと説明します。 僧がどうしてそんなに詳しく知っているのですかと女に尋ねると、実は、 自分はその石の魂だと言い、消えてしまいます。

僧が祈っていると、石が割れ中から狐の姿をした人(後シテ)が現れ、 鳥羽の院の命を狙い損ね、那須野に逃げてきたけれど、 勅命を受けた三浦の介と上総の介に追われて遂には矢で射られてしまい、 執心が残って石になった様子を見せて、これからは殺生をしないと約束して成仏します。


後場になって、後シテの動きが前シテと全く違い、きびきびとしたものになったのには大変驚きました。 同じ人がシテをしているとは思えないほどで、鳥肌が思わず立ってしまいました。

ちなみに、大鼓を勤められていた大倉正之助さんは、素手で大鼓を打っておられるそうで、かなりソフトな音の感じを受けましたが、後の大鼓独奏では、ハードな音も聞くことができました。


初めてこの話を読んだときは、それほど大きな石だとは思わなかったのですが、 舞台に出てきた作り物の石は岩と言ってもいいくらいの大きさでした(普通は石の作り物は出さないそうで、 80年ぶりに作り物が出たそうです)。

前シテが正体を告白する時、そんなに大きな声で言わなくてもと感じましたが、後でよく考えてみると、 石となるほどの執心で苦しみに苦しんでいたところに、僧が来たので、 助けを求めて号泣したという感じを表現したかったのかなと一人で納得しました。

また、三浦の介と上総の介に追われて矢で射られてしまう後シテの動きが大変わかりやすかったです。



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