橋弁慶

弁慶が五条の橋の上で牛若丸と出会い戦いますが、とてもかなわないので、 牛若丸の家来になるという、よく知られた話しの曲目です。

まずシテ役の弁慶が出てきて、五条の天神へ牛刻詣でに行く旨言いますが、 従者は、昨日五条の橋の上に十二か十三歳くらいの子供が蝶や鳥のように 飛び回って太刀で切まわっていたので、今夜の外出は止めたほうがよいと 進言しますが、弁慶は聞きいれず出かけることに決めます。

弁慶と従者が舞台から去ると、五条の橋の上で何者かに切られそうになり、 たいそう慌てふためいた役と、何事が起きたのかと聞き役の2人の間狂言と なります。

間狂言が終わると、子役の牛若丸が出てきて母親の言いつけで寺へ行くことに なり(出家?)、今夜が最後であると言い、誰かが来るのを待ちます。 そこへ弁慶が長刃を持って現われ、牛若丸が居るのを見つけますが、 女のようなので通り過ぎようとしたところ、擦れ違いさまに、牛若丸が長刃の 端を蹴りあげ、弁慶と牛若丸の戦いとなります。 結局、弁慶は長刃を打ち落とされ、牛若丸に組もうとしますが、それもできず、 降参してしまい、家来になると約束し、九条の御所へ行くこととまります。

なお、「笛之巻」では、前半部分は牛若丸が五条の橋で人を切っているといううわさを聞いた羽田十郎秋長(ワキ)が、 牛若丸を母親の常盤御前(前シテ)のもとへ呼び出し、牛若丸が説教をされ、弘法大師ゆかりの笛を渡されるという話になります。 その笛には、牛若丸の手に渡るであろうと読める虫食いの後があることがと常盤御前によって語られます。


平家との争いで負けてしまった側であるので仕方がないのでしょうが、常盤御前はかなり疲れた様子にみえました。 後半の弁慶役がどうなるか心配でしたが、弁慶は大変堂々としていました

牛若役の子方の謡がなかなか良かったように思います。ラジオでも時々、観世流の子方(正確には梅若系というべきか)の謡を聞きますが、みなさん声が高くて上手ですね。


子方の牛若丸が登場したときはずいぶん体が小さく、大丈夫かなと思ったのですが、 いざ薄衣を取って弁慶と戦うところになると体が大きくなったように見えました。
後場の弁慶が頭に被っていた白い布でシテの顔が半分隠されたようになっていたのはちょっと残念でした。 顔をもっと出して堂々として欲しかったなぁと思います。

子役なので、 弁慶と牛若丸との戦いで、牛若丸が太刃を振りかざしても ただ立っているように見えるのは、しかたがないかもしれませんが、 その一方で、弁慶が長刃を振りかざした姿は美しく感じられました。

この能を見る前に謡本を見たところ、最後に弁慶が話すべき事を地謡が 謡うのはなぜだろうと思っていたのですが、戦いの場面で息が上がってしまい、 シテがうまく謡えないからなのでしょう(多分)。 そういえば、牛若丸が太刃を抜く場所も計算されているようで、 牛若丸が被っていた薄衣が太刃にひっかかっても、後見がちょっと手を伸ばせば 薄衣を取ることができる場所であったように思います。



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