流星塵とその測定法 (森久保 茂 著 銀河書房 昭和61年8月13日発行)
★流星塵の研究が我が国で始められてから30数年を過ぎた。当初は初めての分野として珍しがられ、研究に着手する人も多かったが、華々しい成果がでる研究ではなし、地道にこつこつと長年月続けなければ意味のない仕
事だけに研究者は漸減の状態である。
ただし継続定量測定法という作業は外国には数少なく我が国独特な研究といってよい。それだけに地球的な結果を知り得ないのが残念である。今までの定量測定から知りうる新しいデータは期待薄としても、これも自然現象の一つとして見過ごしには出来ないことなので、是非とも世界的に協同観測の輪を広げて続けて行きたい。
宇宙物質として専門家も取り組んでいるのでそれに協力できる研究を続ける必要がある。ただ今までのような方法のみでは何の発展も期待できないので、アマチュア研究家もより一層の工夫を行って、組成分析や空間分布などの調査研究が容易になるような方法も考慮すべき時と思う。
いずれにせよ、この30年間の我々の歩んだ研究経過を物語風に平易に述べて、研究の歴史として遺すとともに今後の研究の参考になればと考え、小冊子を公にすることとした。左の画像は小冊子の表紙で、中央の黒色球が流星塵です。
★流星塵とは何か
宇宙空間にはミクロン級の塵が無数に浮遊している。これらは星から生まれ、やがて再び集合して星になると考えられているいわゆる宇宙塵とよばれるものである。当然太陽系内にも同様な塵があって、黄道光物質とか彗星の核から放出される塵がそれである。
これらの塵は地球と出会ってその大気内に突入すると、摩擦熱により融解発光して流星となる。この際液化四散した物質は直ちに再び凝固し、その表面張力により完全な球体となる。母体の大きさによっては一個が一個に、あるいは一個が数個に成るであろう。こうして出来た球体は大気中を徐々に落下して地上に達する。このように宇宙塵から生じた球体を流星塵とよんでる。
なかには融解することなく元のまま地上に達するものもあろうが、球体でない限り形態的に流星塵と認める方法はないから球体のものだけを流星塵としている。専門家は流星塵も宇宙塵とよんでいるが、我々は宇宙塵の二次的産物として流星塵とよぶことにしている。
以上は 『流星塵とその測定法』 森久保 茂 著 河出書房 のまえがきと第一項目の記述である。
第 1 部 研究の経過
第 2 部 測定法
第 3 部 流星塵の電子顕微鏡による観察とΧ線分光器による分析
からできている。この本のサブ・タイトルは《顕微鏡でみる天文学》となっているようにチョット特異な天文観測の一つとして知っていただくのも意義があるのではと考え紹介しました。
この一文は1988/10/09 Net岡山西にUPしたものを再掲しました。
★私は二十数年間、流星塵の採集を続けておりましたが、視力と気力の減退から現在は中止して久しい。
流星塵の採集は、はじめ関西から始まりました。特に婦人がその中心でした。そのご徐々に観測者も増え高校生による観測もありました。1957年ごろ就実高校(岡山)でも地学クラブの先生の指導で観測されていました。現在も、
森久保さんは連続観測を続けられ、その観測を【流星塵回報】に報告され、回報は153号を数えている。
★流星塵の採集方法と観測方法を簡単に記述します。
顕微鏡のオブジェクトグラスにグリセリンを塗り、戸外に一定時間露出する。このガラス板をそのまま顕微鏡で検鏡する。流星塵を見つけたら直径を測定すし、大きさ別に分類して記載する。大きさは2〜3μ(ミクロン)〜30μぐらいである。以前は100倍で検鏡したが、現在は24時間露出2cmx2cmを600倍検鏡が主流である。見つけ方は真っ黒な球体(時には透明なのもある)を探す。円盤かも知れませんので、グラスの斜め上からスポット光を当てると、球体の一点が光るものを流星塵とします。
地域によっては工場からの排煙もありますが、経験的に排煙のものは球体になっていないようです。
私は「1957年〜1966年の流星塵採集のまとめ」として天界505号に発表しました。モリブデン針で流星塵のみ取り出して理化学研究所の先生に送り、Χ線マイクロアナライザや、放射化分析による方法での結果を天界523号に「流星塵の化学組成について」を発表しています。