ドイツ健康靴(靴)実は、私は腰痛予備軍だ。 普段の生活の中で苦痛なほど痛いという慢性的な腰痛ではなく、長い時間歩いたり、負担のかかる体勢で座っていたりすると痛くなるというタイプ。 ことに、今使っている革靴との相性が最悪で、この靴で長時間出歩くと、足首から膝にかけての外側がツキンツキンと痛くなるわ、何かの拍子で腰に激痛が走るわ、散々なのだ。 だもので、長時間歩いても苦痛が出ない運動靴ではない靴というのに、凄く憧れていた。 で、ダンナと一緒に、たまたま泊まりがけのOFFで関東に出てきたこの週末、日曜日の午後の時間が空いたので、以前から興味のあった某所の靴屋に行こうかということになった。 カウンセリングには予約が必要というのは知っていた。当日の予約はできないかもと思って電話したら、5時からならOKだとのこと。二人分の予約を入れる。 予約を入れたのが丁度昼頃で、少し時間があったので、NIFの某パティオでこの靴屋の話をしたときに「近所だし、興味がある」と言っていたオペラ歌手・はっち(♂)をとっつかまえて、一緒に行くことにする。 サ店でおしゃべりしながら時間をつぶして、予約した時間の少し前に店に到着。 私達の前のお客さんに時間がかかっているようで、座って待つことに。きょろきょろと周りを見回していると、ご主人が「アクション読んでいらしたんですか?」「へ?」と振り向くと、机の上に数冊積まれた本の間に「アクション大魔王」の黄色い背表紙が見える。(笑)「はい、そうです」と答えると、「米沢さん、人気あるからねえ」と。そうか、やっぱりコレがきっかけで来る人、多いんだな〜。別の場所には、「”LOVE”」のコミックスや、その作者・石渡治がこの店を知るきっかけになったみやわき心太郎のコミックスなんかが並んでいる。 待っている間に、ダンナがお店の「アクション大魔王」を勝手に手に取り、はっちに見せて洗脳活動。 前のお客さんの靴の調製が終わり、会計している。 「4万ン千円になります」という声が聞こえて、ぎょっとする。 う〜ん、「アクション大魔王」の情報から、全部ひっくるめて3万円くらいまでは覚悟していたんだけれど、思ったよりもかかりそうだ。価格と品質に納得ゆかなかった時、調整前に「やっぱり、購入は見合わせます」と言うことが、果たして私にできるだろうか? ま、ここまできたら、ぐちぐち言ってもしょうがあるまい。どうにかなるさ。 さて、いよいよ、私のカウンセリング。 今まで履いていた靴を脱いで、足を出す。 今日、履いていたのはオイルレザーのメンズの靴、EEEの25cm。レディスのこのサイズは品揃えが悪いし、幅広の足なのでパンプスやヒールが苦手なので、こういう無茶な選択をしている。 ご主人、私が脱いだばかりの靴を手に、開口一番、「これは、スリッパです」。 ぐにん、と靴を縦に曲げる。「ココ(土踏まずよりもつま先寄りの、歩くとき力が入る所)が曲がるのは良いんです。でも、ココ(土踏まずの辺り)が柔らかいのは駄目。今の日本では、柔らかい靴が気持ち良い靴だと思ってますけれど、違うんです。身体全体を支えるんだから、しっかりしていないと駄目なんです」 今までの靴を放り出して、いよいよ、私の足の診断。 片足ずつ足の指や土踏まずの辺り、踵の辺りを触る。 足の指先を触るなり、「いつも大きな靴を履いていますね」。はい、その通りです。外反母趾と親指の陥入爪が進行するのが怖いのと横幅が広い足のために、本当は24.5cmくらいだとは思っているのだけど、25cmの靴を選んでいます。 一通り座ったまま足をチェックした後、立たせてチェック。踵からアキレス腱のあたりを触ったり、膝の間に指を入れたり、後ろむきにして肩から背中を触ったり。 それから、足の下に紙を入れて立っている状態で両足の足形を鉛筆で取って、足の甲の周囲や土踏まずの辺りの周囲をメジャーで計って、チェック終了。 このチェックで驚愕の事実が判明。 なんと、私の足、右足より左足の方が5mm以上小さかったのだ! がび〜ん! 「こういう人は、右と左、別のサイズの靴を買って組み合わせるのが良いんですけれど、そういうわけにもいきませんからね。右を広げるんです」 あがあが。そういう人がいるというのは知っていたのだけれど、まさか自分がそうだなんて思ってもみなかったんだよな〜。びっくり〜。 右の足に合わせて靴を買うと、左の足だけが靴の中で泳いでしまって、体側左側に負担がかかるのだそうだ。左の腰痛に注意したほうが良いと言われる。 チェックが終わったところで、「今日は、どのような靴をお求めですか?」の一言。男性と違い、女性の場合、カジュアル・フォーマル・ハイヒール・ローヒール、選択肢が色々あるからね。 「新潟から来たんですけれど、雨・雪に強くて、普段使いのできる靴を」 贅沢な注文だもので、出てきた靴は二種類。 スウェードの撥水加工のウォーキングシューズ(3万2千円)と、防水皮革のアンクルブーツ(3万5千円)。融雪設備が整っている分、冬場は町中水浸しの長岡事情を考えて、アンクルブーツの方を選択。 まずは、未調整で履かせてくれる。 足にフィットする感じが、他の靴と全然違う。確かに、右の足の方が少し窮屈だ。 「はい、立って」と、ご主人に言われるまま立ち上がる。 あ、あれ? なんか、変。 変って言っても、「気持ち悪い変」なんじゃなくて、「気持ちの良い変」。 歩いてみると、さらに「変」な感じが強くなる。なんだ、この感じ?? 靴を脱ぐと、右足の分を器具にセットする。靴の中に入れた足形を広げて、靴の皮を伸ばす道具らしい。店の奥では店員さんが靴の中に入れるインソールの調整をしている。 (店員さんに調整の説明をするとき、「O脚、少し入っているから」と言っているのが聞こえた。うう、やっぱりO脚か〜。わかっちゃいたけど、ちょっとショック) 調整の仕上がりを待つ間に、ダンナと相談。入れた予約のもう一人分のカウンセリングを、ダンナが受けるかはっちが受けるかという話。はっちは近くに住んでいるわけだからいつでもまた来ることができる。ここはダンナが受けた方が交通費の効率から考えても良いわけだけど、ダンナは靴の値段に二の足を踏んでいるようだ。 「値段が気になってるようなんですよ」と言ってみると、「男性の靴は、全部3万円になります」とのこと。 ちらと、ダンナの足下を見て、「そちらの方に、ぴったりの靴、ありますよ」といきなり靴を出す。私が2択で落とした方のメンズ版、撥水加工のスウェードの靴。 ダンナは靴を履かせてもらって試し歩きをしながらも、まだ迷っているらしい。 まあ、大学時代、靴といえば1980円くらいで買ってきて、ワンシーズン使い捨て。私とつき合うようになって少しはマシになったものの、8千円の靴でも逡巡する男なんだから、しかたないか。 とりあえず、はっちがカウンセリングを受けることに決める。 そうこうしている間に、私の靴の調製が終わった。 私の足と身体に合わせて、私の為だけに調整された靴。 ドキドキしながら履かせてくれるのを待ってたら、「ウチの靴は、薄い靴下で履いた方がいいよ。あなたは絶対に冷え性にならない人だから(断言)、薄い靴下でも大丈夫。靴下あるから、試してみる?」と言われ、それならと足首までのストッキングを借りて靴下を履き替える。 さて、いよいよ靴を履く。 この靴は、靴紐を最後の2段は引っかける金具に掛けてから結ぶタイプ。(スケート靴なんかに良くあるアレ)「この金具に紐を掛けるときは、下からじゃなく、上からこう引っかけてくださいね」と履き方を教えてくれながら、靴紐を結んでくれる。 靴底は吸い付くように足にフィットしている。さっきと違い右足に窮屈な感じはない。両足とも、足の甲あたりにそれなりの圧力はかかっているのだけれど、不快な感じではない。 「はい、立って」 言われて立ち上がると、すっと何かに引き上げられるようにすんなりと立てた。 立ち上がるとき、今までの靴ではつま先を開いたスタンスで、身体を前に大きく倒しながらどっこいしょと立ち上がっていたのに、そういう感じがまるでない。両足を平行に開いたスタンスのまま、すっくと立ち上がれる。 歩いてみると、真っ直ぐ前に足が出る。今までの靴は、立つ時と同様つま先が開いた形で踵の外側を地面に擦るように歩く感じだったのが、この靴の場合つま先から前に前に足が進む。この靴を履くと、今までのようにつま先を外に向けながら歩くことができないのだ。 今まで当たり前だと思っていた体中のバランス感覚が、立つとき歩くときの筋肉の負荷のかかりかたの常識が、一瞬でぱっと塗り替えられたよう。 凄く、気持ちが良い。 借り物のストッキングを脱いでお返しして自前の靴下を履いてから、手入れの仕方を聞く。普通の革靴と同じで、クリームを塗って拭けばOKとのこと。 「履いて帰りますか? 靴下、おわけしますよ?」と言われたけれど、ちょっと確かめたいことがあったので、今までの靴を履いて帰ることにする。 その後、はっちのカウンセリング・調整・購入の間に、ダンナがついに落ちて、予約していなかった3人目のカウンセリングもしてもらって、3人とも靴を買ってしまいました。結局、ダンナが買ったのは、いきなり試し履きさせられた靴の色違い。うむ〜、凄い眼力。 一度店に来て買って調整してもらった靴なら、底がすり減ったりしても修理してくれ、靴の使われ具合を見て新たな微調整もしてくれるとのこと。地方でも、宅配便代引きで修理を扱ってくれるそうで、田舎者の私とダンナはひと安心。 「紐をほどいてから脱ぐ」「靴べらを使う」「きちんと紐を結ぶ」という3つの注意を受け、ダンナとはっちは、買った靴をそのまま履いて帰りました。 太っている人は、紐をほどく・結ぶというのをきちんとしないで脱ぎ履きをする人が多いそうで、私とダンナは見事にそういうタイプで、反省しきり。 さて、私が今までの靴を履いて帰ったのには、理由がある。 椅子に座って待っている時間が長かったので、腰や足の痛みに対して新しい靴がどれほどの効果を持つかが実感できなかったので、あえて今までの靴を履いて帰って、痛くなった身体で履いたらどんな効果があるのかを確かめようと思ったのだ。 店から最寄り駅まで歩きながら足の痛みに、帰りの新幹線を待つホームでツキーンと突き抜ける腰痛に襲われ、素直に履いて帰ればよかったとむちゃくちゃ後悔したが、今更遅い。しかたないと長岡の自宅まで我慢する。 いつものように腰と足の痛みに苦しみながら到着した自宅で、教えられた通りに靴を履く。 紐を結んで立ち上がると、嘘のように腰から痛みが消える。今までの靴は論外としても、裸足で立っていた時にはあった痛みが、信じられないくらい楽になったのだ。 こんな靴があったのか、と思うと同時に、ずっと靴を履いて生活できない日本人のライフスタイルを少々恨めしく思ってしまった。 代金は、私の靴で靴代3万5千円+調整代3千円の3万8千円。 買って悔い無し......だけど、これに慣れたら他の靴が履けなくなりそうで怖い。 履いてナンボの靴だからバンバン履くつもりだけど、丁寧に履いて、手入れきっちりして、無茶して傷つけないようにして、できるだけ長く使ってやろうと心に誓ったのであった。 ★ |
キュア(映画)ネタバレ注意。人間の喉元をXの字に切り裂く殺人事件が次々と起こる。 被害者にも加害者にも共通点はないはずなのに、何故か酷似する手口。 その事件を追う刑事と、協力者の精神科医。そして、彼等の前に現われる、記憶障害を持つ謎の男。 何かに精神を冒される人々の恐怖の描き方が上手い。 結果的に何一つ明かにされない物語は、観終わった後に不安をかきたてるが、決して狙いすぎのわざとらしさもあざとさも感じさせない。 役所広司、うじきつよし、萩原聖人の、三人のメインキャラクターの演技が最高。 派手ではないが美しい映像と、既存の映画音楽のイメージを裏切る音楽が良い。 肝心なところに決着を付けないストーリーというのは、本来、私の好みからは外れるのだが、それ以上に魅力が優っている感じ。 素直に、面白かった。 5 |