ブスの美学
  ─マリコさんの場合─

 

橋宗 優里

第14話


 月曜日の朝は、憂鬱だった。
 ブルー・マンデーというのはこういうことを言うんだろう。
 とにかく学校に行くのが、安原や美姫と顔を合わせるのが嫌で……いや、嫌ってのは正確なトコじゃないけど、気が重くて。
 別に、二人がどうこうという問題じゃなくて、これは私の内面的問題で。
 私の中では、安原への気持ちも美姫への気持ちも、ちゃんと整理して結論を出したはずなのだけど、これから自分がどうしたらいいのかわかっているはずなのだけど。でも、安原や美姫を実際に目の前にした時、本当に自分が決めた通りにできるのか、それが不安だった。
 学校サボって逃げ出すほどの度胸もないくせに、つい、通学の支度にぐずぐずと時間をかけていた私は、いつも乗るホームルームに間に合う最後の電車を逃して遅刻してしまった。
 
 一限と二限の間のたった十分の休み時間、廊下側の窓際にある私の席のそばの窓が、いきなりガラリと開いた。
「あ、いたっ! マリコ、おはよう!」
 反射的に向けた視界に飛び込んできた声の主は、できるかぎり会う瞬間を後へ引き延ばしたかった、会うことを考えたくなかった人物、美姫だった。
 ぷっ。
 私は、何を考えるよりも先に、小さく吹き出してしまった。
 だって、美姫は手に社会科第二選択科目の政経・倫理の教科書や副読本なんかを抱えて、頬を上気させ息をはずませていて。社会科の第二選択は第二校舎の社会科教室で授業をやることになっているんだから、きっと授業が終わってからダッシュでここまできたんだろう。
「おはよう。そんなに急いで、どうしたの?」
「昨日のこと、早くお礼言いたくって。マリコ、色々とありがとうね」
 学校とは関係の無いプライベートな環境で安原と二人きりになれたのが、本当に嬉しかったんだろう。一晩明けても興奮は覚めやらずといったところか、見ているこちらも嬉しくなってしまうような極上の笑顔を朝っぱらから辺り構わずまき散らしている。
「で、あの後、どうしたの?」
 私の言葉に美姫は、顔を近付け声をひそめた。
「どうしたって、いろんな話をしながら家まで送ってもらって、お礼言って『さようなら』よ」
「なんの進展もナシなの?」
「でも、いっぱい安原のこと教えてもらったからいいの」
「もう、じれったいな〜」
「いいんだったら。あ、じゃ、放課後ね」
 自分の腕時計をちらっと見やって、美姫はバイバイと手を振った。
 美姫が行ってしまった後、廊下の窓を閉めながら、私は『あれ?』っと思った。
 今、私、じれったいって本気で言ってた……
 なんだ、心配すること無かったじゃない。案ずるより生むが易しってことだね。
 そう納得したところで、二限開始のチャイムが鳴り響いた。
 
 掃除当番だったため、私は少し遅れて放課後の美術室に行った。
 美術室へ向かう階段を上がりながら、運動量の影響以上に加速する心臓の鼓動を、私は感じていた。
 美姫には自然に接することができることを午前中に確認をしてはいたけれど、安原に対してもそれができる自信はなかった。
 かといって『共同制作作品コンペ』前のこの時期、副部長の私が美術室に顔を出さないわけにもいかない。コンペに向けて、先輩の助言を求めようとする後輩の相手を、あてにならない瀬戸にはまかせられないからだ。
 美術室のドアの前で、私は少しだけ躊躇した。
 美姫はすでに美術室にいるはずだけど、安原はもう来ているだろうか?
 私は頭の中で、ブスがブスゆえに身につけた姑息的防衛機構を発動させた。安原と美姫が向かい合って親しげに笑い合っている光景を思い浮かべる。自分からの片思いで構成された三角関係の一角にある人間にとって、一番辛いはずのシーン。最悪の事態を事前に想像して、いざという時の自分のショックを和らげるのだ。
 私は一つ深呼吸をしてから、美術室のドアを開けた。
 美術室はいつもよりも賑やかだった。まだ、自己紹介のクロッキーが残っている部員が多いのも一因だけど、それ以上に学祭の準備が始まったことが影響しているんだろう。
「おはよー」
「おはようございます」
「おはよう」
「はよ〜っす」
 表面だけはいつも通りの挨拶をしながら美術室に入ってきた私に、みんなが声を返してくれる。
 まず目に入ったのは、美術室の入り口に近い北向きの窓際に立っている瀬戸の姿がだった。そして……
「考史?! なんであんたがここにいるのよ!」
 片手に鞄を持った考史が、瀬戸と向かい合って立っていた。
「男同士の人生相談」
「はあ?」
 しっしっ、と片手で私を追いやるように言う瀬戸に、私は思わず聞き返した。
「あ、そろそろ部活行かなきゃ」
 考史は私のことなんかさらっと無視して腕時計に目を落とした。
「バスケ部の部室は体育館にあるんだったな。そこまで歩く間に、もう少し話を聞かせてくれよ」
「いいですよ」
「ちょっと、待ちなさいよ。なんで考史が瀬戸と……」
 連れ立って美術室を出て行こうとする考史と瀬戸に、私はなおも食い下がろうとした。そんな私に瀬戸はいつものにやにや笑いに皮肉っぽい味を加えた表情を浮かべてみせた。
「マリコ。お前、過保護なんだな」
 ぐっ、と言葉につまった私を尻目に、考史と瀬戸は美術室を出ていってしまった。
 まったく、なんだっていうのよ。考史が瀬戸に、いったい何の用があるって?
 瀬戸が私の「彼氏」なんかじゃないってことは昨日納得してたんだから、そういう勘違いからってことはないと思うんだけど……
 別に、考史が瀬戸になついたってそりゃ考史の勝手だし、瀬戸が考史の相手をしたって私がどうこう言う筋合いじゃないってのもわかってる。
 けど、こんな風に蚊帳の外に置かれるのって、なんか嫌な感じだ。
 考史のヤツ。家に帰ったら、絶対に話の中身を追求してやるからね。
 音を立てて机の上にカバンを置いて、私はどっかりと椅子に座り込んだ。
「マ〜リ〜コ! 今の一年生、誰?」
 美姫が背後から話しかけてくる。
「私の弟。まったく考史のヤツ、姉の私を差し置いて、瀬戸なんかに何の用があるってんだろ……!」
「へえ、全然似てませんね」
 美姫の顔も見ずに毒づいた私は、続けて聞こえてきた安原の声に振り返った。
 にこにこと笑う美姫の隣に、安原が立っていた。
「でも、アタシは言われてみれば納得するけどな」
「そうですか?」
 二人がそんな会話を交わすのを見上げながら、私は自分に問いかけた。
 大丈夫? うん、大丈夫。
「ところで、なんで、マリコさんの弟と瀬戸さんが顔見知りなんですか?」
「昨日、ちょっとだけ挨拶したからね」
「挨拶?」
「それが、笑っちゃうのよ。昨日、『友達に送ってもらって帰る』って電話を聞いた弟がさ、送ってくれる人を私の彼氏だと思って、わざわざ顔を見に途中まで迎えに……」
「マリコさん、瀬戸さんとつきあってたんですか?」
 私の言葉が終わらないうちに、安原は周囲に聞こえる大声を上げた。まわりの部員のざわめきがピタリと止まり、私達に向かって耳を澄ませている気配が、そこだけ時の流れをせき止められたかのように生まれた静寂からひしひしと伝わってくる。
「んなわけないでしょう!」
 私は大声で笑いながら、周囲にも聞こえるようにはっきり否定した。
「やあねえ、照れなくてもいいのよ」
 本当のところを知っているくせに、美姫がまぜっかえす。
「ああもう、美姫ったら調子に乗らないの! 勘違いよ、勘違い! そういう勘違いをされたって話!」
「勘違い、ですか」
 安原のつぶやきとともに、周囲からも「な〜んだ」とほっとしたような雰囲気が伝わってくる。
「失礼しま〜す」
 聞き慣れない声とともに、美術室のドアが開く。ひょっこりと顔を出したのは、確か二年生の生徒会役員だ。
「生徒会執行部ですが、美術部の会計さん、いらっしゃいますか?」
「あ、はい」
 美姫がぱたぱたとドアの方に走って行く。
「生徒会が、何の用なんでしょうね?」
「会計の美姫に用があるんなら、校門アーチの予算の件でしょ」
 安原の言葉に答えながら、私はほんの少し考史に感謝していた。
 予期せぬ考史の出現にはびっくりさせられたし、姉を無視する態度にちょっと腹も立ちはしたけど、そのおかげで思ったよりもすんなりと安原と話ができたのだ。
 まあ、今夜の「取り調べ」は、少しくらい手加減してあげてもいいかな。
「あの、マリコさん」
 そんなことを考えていると、一年生の咲が、安原の後ろからおずおずと声をかけてきた。
「その、『共同制作作品コンペ』のことで、相談したいことがあるんですけど、いいですか?」
 おっと。自分のことに気をとられて、副部長としての責任を忘れちゃいけないね。
「いいよ、いいよ。何でも聞いて!」
 私は、ちょっとコミカルに胸を叩いて笑ってみせた。
 
 
 
「つまり、写真表現によってある一面を、絵画表現によって別の一面を描くわけだ。試しに作ってみたのがコレだ」
 そう言って、瀬戸は一枚のモノクロ写真と水彩画を取り出した。
 写真には、白い色をバックにのたっと横たわるギョウザが一個、ドアップで写っていた。そして、水彩画は豊かな色彩でスーパーから買ってきた野菜や肉をパックのまま並べて静物のモチーフにした絵。
「もしかして、ギョーザとその材料、ですか?」
「それ以外にあるか?」
 半分あきれ顔の柴田の問いに、さも当然だといわんばかりの瀬戸の答え。
 部員達の失笑がもれる。
『共同制作作品コンペ・屋内共同制作作品部門』の審査会は、最後の瀬戸の作品のプレゼンテーションですっかり寄席になってしまったようだ。
「もちろん、実際には両方ともパネルにして見栄えを良くする。展示の仕方も単なる並列でなく上下に並べたり斜めに並べたり重ねたりと、工夫はいくらでもできる。絵画表現だって、色々だ。例えばコレ」
 瀬戸はもう一枚の水彩画を出した。暖色系を中心にした抽象画だ。全体に赤やオレンジの暖色系の色彩が大きく柔らかい曲線を描きながら入り混じり、細かく直線的で鋭角的な青や緑の寒色が散っている。
「ギョーザの美味しさを表現してみました」
 すました顔で言う瀬戸。美術室に爆笑が響く。
「写真をモノクロにしたのは、絵画を天然色にしてコントラストを出す目的が一つ。でも、メインの理由は、モノクロなら安原に依頼して実費で現像と引き伸ばしをしてもらえるからだ。何か質問は?」
 柴田が手を挙げる。
「写真のネガは、自分で用意するんですか?」
「自分で撮ったのを持ち込んでもいいし、被写体が持ち運び可能なものなら学校に持ってきて安原に撮影を依頼してもいい。学校にあるものでも、同様。ただし、安原には撮影以外の手間をかけさせないように」
「なんか、安原の負担が大きすぎるように思うんだけど」
 美姫が言う。
「引き伸ばししてからダメ出しされると大変ですけど、時間はまだまだありますからなんとかなりますよ。当然、経費は戴くことになります」
 安原は笑った。
「それに、瀬戸さんも引き伸ばし機を使えますから、いざとなったら手伝ってもらえますし」
「おい、安原。俺がいつ、そんなこと言った?」
「中学の時、なけなしの小遣いで買った印画紙で、散々遊んでくれたのはどこのどなたでしたっけ? できるんだから、手伝うくらいしたっていいでしょう?」 
 これ以上放っておいても、漫才が延々続くだけと判断して、私は教壇の上の司会者席から立ち上がった。
「それでは、『屋内共同制作作品部門』採用作品の決を取ります」
 どうせ瀬戸のアイデアに決まりだろうけど。
 心の中で、そうつぶやいた。
 自由度が高くて遊び甲斐のある瀬戸のアイデアは、単に完成した作品を提示した他の部員のアイデアに比べて、より多くの部員達の興味をひいていた。今回、『校門アーチ部門』にも得意の『屋外共同製作作品部門』にもアイデアを出さなかったと思ったら、とんだ隠し玉を用意していたわけだ。
 もしかしたら、瀬戸はこのアイデアを実現させるために、安原を美術部に引っ張り込んだんじゃないだろうか?
 そんなことさえ考えてしまう。
「え〜、多数決の結果から、屋内共同製作作品には、瀬戸のアイデアを採用します」
 予想通りの結果を、私は宣言した。
「以上で、今年の学祭の共同製作作品のアイデアが出そろいました。アイデアを採用された三人は立ち上がって下さい」
 校門アーチのアイデアを出した美奈子と、屋外共同制作作品のアイデアを出した岡田と、瀬戸が立ち上がる。
「この三人が、今年の共同製作作品の責任者になります。じゃあ、美奈子は一番後ろの席に、岡田は一番右前に、瀬戸は左前に移動して下さい。そうそう」
 私は三人が所定の場所に着いたのを確認してから、残った部員に向かった。
「他の部員は、自分が準備を担当したい共同制作作品の責任者の所へ移動してください」
 共同制作作品の制作作業自体は、特に担当を決めず部員全員で当たることになっている。制作作業が遅れている作品に自在に人員を回せるように、自由度を持たせているのだ。
 けれど、実際の作業の前に必要なアイデアの練り込み、試作、予算と材質の検討、強度の確認、設計図の作成などの準備は、三つの作品それぞれを全員でやろうとすると時間がかかりすぎる。三作品を効率よく仕上げるために、下準備は三班にわけて同時進行でやることになっているのだ。
 わいわいとみんなが移動するその間に、私は部誌に部会の記録を取っていた美姫の所に行った。
「今回は、部長が『屋内共同制作作品』担当確定だからね。美姫は『校門アーチ』と『屋外共同制作作品』と、どちらにする?」
 例年、部長、副部長、会計の三役は、お目付役兼アドバイザーとして一作品を一人ずつ担当することになっている。今年は瀬戸が責任者兼務になってしまったので、私と美姫が残りの二つから自分の担当を決めることになるのだ。
「どっちでもいいよ」
 美姫はそう言ってから声をひそめた。
「どうせ、安原は瀬戸の手伝いで『屋内共同製作作品』に行っちゃうもん」
「じゃあ、私は『校門アーチ』の方にするね。責任者一年生で、何かと心配だから」
「OK。アタシは『屋外共同製作作品』ね」
 他の部員達は、大体三つのグループに分かれたようだ。ぱっと見て、作業に問題が出るほどの人数性別の偏りがないことを確認する。
 うん、このくらいなら大丈夫だろう。
「三役の担当は、瀬戸が責任者兼任で『屋内共同制作作品』、美姫が『屋外共同制作作品』、私が『校門アーチ』に決まりました。共同制作作品の具体的作業の開始予定日は、六月第二週の土曜日です。それまでに、各責任者が中心になって必要な準備を済ませて下さい。では、以降は各班のミーティングということで、今日の部会は終了します」
 必要なことを壇上で言ってから、私は美奈子を中心とした『校門アーチ班』の方に向かった。
 
「あの、ミーティングって、何をしたらいいんでしょう?」
 案の定、美奈子は私にすがりつくような目を向けてきた。
「とりあえず、名簿の作成と連絡網の確認。それが終わったら、作品の材質と強度の検討かな?」
「名簿は作ってるぞ」
 橋本がレポート用紙をトントンとシャープペンで叩いて言った。ナイスフォロー。
「名簿はクラス順にしておくから、連絡網もその順番で行こう。なんかあったら、名簿の次のやつに伝えること。いいだろう?」
 最後の問いかけは責任者の美奈子に対するものだ。
「あ、はい」
 美奈子が慌ててうなずく。
「ねえねえ、美奈子。このアーチのデザインなんだけどね」
 美奈子がプレゼンテーションに使ったデザイン画をグループの中心に広げ、聖子が言う。
「視覚的にはすごく良いけど、材質的には実現不能じゃないかな?」
 美奈子がデザインしたのは、校門の幅の一枚板に『昇龍祭』とN高学園祭の名を透かし彫りにしたものだ。そのシンプルな美しさが部員の支持を得た。
「無垢の一枚板って、すごく金かかりますよね?」
「それどころか、手に入れるのも難しいぞ」
 佐藤の言葉に、船木が言う。
「ベニヤ板を張り合わせるってのは、どうだ?」
「うーん。接着剤の分だけ重くなるから、強度に問題が出てこないか?」
「美奈子、この作品でこだわりたいのは、形状としての『デザイン』? それとも『材質』?」
 船木が、美奈子に問いかける。
「透かし彫りという『デザイン』なら、発泡スチロールのような軽い素材に後から色付けする方法がある。木という『材質』なら、厚みの点で妥協することになるかもしれないぞ」
「どっちも大切なんですけど、厚みがなくなるくらいなら、材質を変える方がいいです」
「一枚板で作って、ニスかけて、つるつるした質感と木目っての、やっぱり、無理ですか?」
 一年生の柴田がたずねる。
「軽量化と強度の問題は難しいからな」
 腕を組んで、加藤は頭を傾けた。
 心配することなかったかな。
 一年生の発言も引き出しながら、ああでもないこうでもないと検討をする『校門アーチ班』のメンバーを見ながら、私はほっと肩の力を抜いた。この活発なやりとりなら、あえて私がしゃしゃり出なくても十分なアイデアの練り込みができるだろう。
 顔を上げて、他の班の様子を見る。『屋外共同制作作品班』では、二年生の岡田と三年生の畑中が中心になって、話をすすめているらしい。畑中は去年の『校門アーチ班』の責任者だ。その経験を生かして、岡田をサポートしてくれているのだろう。畑中のおかげでやはり手持ちぶさたな美姫が、私の視線に気がついて手を振って見せる。
 視線を巡らせ『屋内共同制作作品班』の方を見ると、瀬戸が仕切っているようだった。こっちも心配はいらないだろう。
 ふと、瀬戸になにやら話しかけている安原の姿が目にはいる。
 この時期に安原への気持ちを自覚したのは、よかったのかもしれない。
 私はそんなことを考えた。
 これから本格的な制作作業が始まるまでの間、各部員は班ごとのスケジュールで行動する。
 つまり、安原と美姫のそれぞれの顔や、二人が一緒に居る所を私が目撃する機会が少ないということだ。
 この一週間、平静に二人のことを見つめることはできているし、このことで悲観的になったりしたこともないから、本当は平気なんだけど。
 ……あれ?
 でも、二人に会う機会が少なくなることに、ほっとしてるってことは……?
「マリコ、何か良いアイデアないか?」
「へ?」
 船木の言葉に、思考が中断させられる。
「木の質感を生かしつつ、強度を増しつつ軽量化する方法だよ」
「う〜ん、そうだねえ」
 言いながら、私はいくつかのアイデアを頭の中で検討しはじめた。
 そして、都合の悪い方向へ行こうとしていたそれまで考えていたことを、忘れた。

第15話へつづく


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