マップス


勇者ではない勇者の話

 普通の生活をしていた人間が、何故か勇者になってしまう話というのは、一頃
のSFマンガに良くあったが、この作品はそれを踏まえてもう一つ突っ込んだ話
になっている。

 主人公のゲンは、周囲から勇者として扱われているが、自分が万能の勇者では
ないことを知っている。
「勇者を演じる事になってしまった只の地球人」として悩むゲンの姿は、この手
の勇者モノにありがちな「どんどんスケールが大きくなって、どんどん読者に
とって『遠い』話になって行く」という欠点を補うに十分なものである。
 話のスケールは「宇宙を救え!」というほどまでに大きくなった。でも、主人
公は相変わらず勇者らしからぬ弱さを持っている。それが、主人公を身近で感情
移入のしやすいものにし、読者をストーリーに引きつけ続ける力になっていると
思う。

 敵である伝承族の正体や、ブゥアーの倒し方など、最後までドキドキさせてく
れるネタを引っぱり、ACT.74からエピローグのACT.91まで、単行本
にして約三冊、ページにして約600ページのクライマックスを、一気に読ませ
る力量は並みじゃありません。


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