BOOM TOWN


仮想現実型パソコン通信

 コンピューターの作ったリアルな疑似空間に入り込んで疑似体験をするという
のは、多くの漫画・映画・小説で使われたネタである。(そいや、「トロン」と
いう映画があったなあ)
 しかし、『BOOM TOWN』は、今まであったそれらの作品とは、少々違う点が
ある。

 まず、広域ネットワーク型であるという点。
 多人数同時参加型のモノをネタにした作品は今までもあったが、それぞれがま
るっきり離れた別々の地域から同一疑似空間に各々のタイミングで参加するとい
うのは珍しい。

 次に、ノンプレイヤーキャラクターであるxyz-Pが、他からの制御を受けてい
ないという点。
 独自に事態を認識し、思考し、判断し、行動し、感情さえも持つxyz-Pは、ホ
ストコンピューターからの直接的制御を受けていない。人間と同じように心の問
題さえ抱え込める彼等の起こすトラブルには、BOOM TOWNの中という同じ次元
から対応するしかないのだ。
 BOOM TOWNの中で、その瞬間を実際に生き、自分自身で悩む彼等は、役割を
決められ演技をしているだけの今までの作品群の中のそれとは、一線を画してい
る。

 そして、(これが最大の相違であるのだが)BOOM TOWNに参加する人間
(ユーザー)には、シナリオも目的も与えられないという点。
 今までのこの手の作品では、疑似空間に入り込む人間達は「○×を倒す」「こ
の世界から抜け出す」等の達成すべき目的を持っていたのだが、BOOM TOWNに
はそれが無いのである。

 つまり、今までの作品群の疑似空間は、多かれ少なかれ目的が与えられるとい
う点で「仮想現実型ゲーム」としての性格をもっていたとわけだ。
 対するBOOM TOWNはそれに対して、「仮想現実型パソコン通信」という性
格を持っている。BOOM TOWNそれ自体は、単なるネットワーク(商用パソコ
ン通信)のシステムにすぎないのだ。

 このアイデア自体斬新なのだが、現実のパソコン通信が極めて自由度が高いの
と同様に大きな自由度を持つBOOM TOWNという世界は、それゆえにより多くの
ドラマを産み出すことができる場所になっている。
 今までのこの手の作品群が単発の作品ばかりであったのに対し、『BOOM
TOWN』が連載モノとしてやってゆける理由は、ここにあるのだと私は思う。


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